「コマギレ勤務」が社会を変える―多様な働き方を目指して (働く・仕事を考えるシリーズ)

どうして1日8時間働けないとだめなのか?育児、介護、病気療養、ボランティア、障害などでフルタイム働けない人は多いし、今後増えるだろう。本書が提唱する「コマギレ勤務」とは「正社員の短時間勤務」のことを言う。
これが実現できれば、これまで働きたくても働けかったような潜在的な労働力が活かせるだろう。
出産を期に退職などというパターンはよく聞く。そして復帰しようにも正社員のようにフルタイム働けるわけでもない場合も多い。育児に対してはいろいろな法整備も進んではいるが、今でも十分ではない。また男性の意識もあまり変わったようにも見えない(「イクメン」などという言葉も出てきてはいるが、多勢は取得できていないのが現状)。

本書が提言する「正社員の短時間勤務」が浸透すれば、子育て世代の男性ばかりか、労働環境全体の見直しも進むだろう。
過重労働な正社員と不安定な非正規社員のような二極化も解消されよう。

働く担い手が増えれば、税金を納める人も増える。社会保障制度の維持にも貢献できる。また、多様な働き方が認められれば生涯未婚率の低下や出生率も上がるかもしれない。そんなことまでうまくいくかって?同一価値同一労働条件。ワークシェアリング。これまでも言われていた言葉ではあるが一向に進まない。育児休業制度があっても利用されないなど制度面でなぜできないのかの理由も冒頭で分析している。そしてどうやって取り組めばいいか、そしてそれができたらどんな社会が待っているか、それがその答えだ。

少子高齢化が進めば、働き方の多様化とともに、社会構造の転換も迫られる。そういうときにこのような勤務形態もあってもよいだろうし、あるべき姿だろう。


さいごに。
自分は今、うつ病で5時間半しか働けていない。
パート勤務だ。
仕事内容は正社員がやるような「価値」があるほどのものでもないため、「パート並み」の時給だ。
もし、短時間でもいいから、付加価値のあるような自分が本当にやりたい仕事ができるのなら、うつ病であっても、今のような「パートだし、やるだけやればいい」などという意識ではない、やりがいを持った働き方ができるのではないだろうか?それがひいては病気自体の治癒を早めるような気もする。今はひたすら現状維持しているだけで、治そうというモチベーション自体が起きない。
このような勤務形態があると、こういった人たちにも有益だと思う。