ドラマの「信長のシェフ」が終わった。
個人的にタイムスリップものは好きで、「仁-JIN-」は医者が幕末にタイムスリップするものだった。
これはそれの料理人版みたいなものにも思える。

が、「仁」がそれをすることによって歴史を変えてしまうのではないかとびくびくしていたのに対して、こちらは少なくともドラマの方では何とも思っていないように見えた。

それどころか、面白かったのは、歴史的事実がそれによって変わるというより、主人公「ケン」が作る料理がトリガーになって事は進むものの、結局のところは歴史どおりに事が進んでしまうことだった(日本史は疎いので正確かはわからりません)。

たとえば、将軍にある料理を食べさせることによって、どこかを攻めることの許諾を得たことになったようなくだり。歴史的にはそれがあったことは事実であっても、その口実に「ケン」が作った「それを食べることは〜攻めを許可することにある」というメッセージが込められているという意味をつけたところが面白い。

徳川家康が信長を裏切ろうか、まだついていこうか迷っている際にもある料理を送ることで信長の意思を伝えたりしたこともある。

また、これは歴史の表には出たものではないと思うが、信長の妹、お市の方に何か借りた貸しを返すことをある料理を作ることによって伝えたなど。

そうした信長が何を求めているのかを察知し、それに見合った料理を作って役目を果たすというのが非常に興味深かった。それがなかったはずの史実では、ではどうやってそれを実現しえたのか?ということの裏返しでもあり、その部分がフィクションで描ける部分でもあるところがこの作品の面白さなのかもしれない。

このドラマにはマンガの原作があり、まだ連載中らしいとのこと。
そういうドラマの終わり方というものは難しいもの。
「仁-JIN-」は結局連載が終わった後、ドラマも続編が始まり、終わった。終わり方は原作とドラマは違ったようだが(読んでいないが、そうらしい)。

この「信長のシェフ」の最終回は、どう考えても続きがなければ消化不良だ。
「瑤子」だけが平成に戻ったのなら、ドラマとしてはとりあえず一応完結したのかなとも思ったが、そうでもない。
それに信長といえば「本能寺の変」が最大の山場なわけで、そのとき「ケン」はどうするのか、それこそケンの料理で本能寺の変が食い止められたら、「歴史を変えた」ことになってしまう。

どうなるかわからないが、最後まで描いていないからこそ、これは続編がなければ納得できないでしょう。。

信長のシェフ 1 (芳文社コミックス)
梶川 卓郎 西村 ミツル

信長のシェフ 1 (芳文社コミックス)
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