希望の資本論 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか
池上 彰 佐藤 優

池上彰氏と佐藤優氏の対談本としての2冊目。本書ではマルクスの「資本論」について取り上げている。資本主義の限界だとかその論理とか、これを読むことの効用などを挙げているが、つまるところは読みなさいということらしい。元の「資本論」自体が難しいので、まずは池上さんの高校生を対象にした本から読んでみないとわからないと思う。
池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」
池上 彰
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沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)
堤 未果

「沈みゆく大国アメリカ」の続編。本書でもオバマケアを始めとするアメリカの医療の仕組みについて触れてはいるが、どうしてそうなってしまったのかについてはやはり前著を読んでおいた方がいい。それを受けてアメリカの強欲資本主義が日本の皆保険制度を崩し狙っていると警鐘を鳴らす。知らぬ間にいろんな法案が通っていたり制度が変わっていたりするのは市民の無知や無関心から来るという。アメリカでも日本でも市民が立ち上がって協同組合的取り組みを行っているところに一筋の光が見える。
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“町内会”は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~ (小学館新書)
紙屋 高雪

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ひょんなことから町内会長になってしまった筆者による町内自治についてのルポルタージュ。どんなことをしているのか、どういう仕組みになっているのかなど筆者の経験談とともに一般的な町内自治の歴史や他の町内会の例、最高裁の判決による位置づけ等のコラムもある。その運営に疑問を持ち、上の組織に楯突いて吊るし上げられたあげく、ゆるゆるな組織に作り変えてしまった。運営に困っているような町内会の人などが参考になるかもしれない。あるいはPTAやその他の何らかの自治について考える際にヒントにも。
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なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?--数千年に一度の経済と歴史の話
松村 嘉浩
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なぜ最近漠然とした不安を感じるのかについて、大学の教授と一人のゼミ生との対話という形で、経済や歴史を軸に漫画やドラマなどからも引用しながらその理由を紐解いていく。今は人類が経験したことのない「新しい時代」なのに旧態依然としたやり方で成長を前提とした考え方のままでいるからであると。そこからの帰結が定常型経済・社会というのは類書を先に読んでいた身にすればああそうなのかであるが、読んでいないのであれば本書は読みやすいのでいいかもしれない。ただ日本人云々の部分はそれを地球規模に広められるかというと疑問はある。

路地の教室―― 部落差別を考える (ちくまプリマー新書)
上原 善広

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路地とはいわゆる被差別部落とか同和地区と呼ばれるところとのこと。作家の中上健二氏が文学的表現としてそう名づけたらしい。この問題については小説「橋のない川」を読み込んだことがある程度で、現代においてはどうなのかとか、同和利権とか同和教育というのは何なのかも知らなかったので、それらを知るのにちょうどいい入門書と言える。歴史は支配者中心のものになりがちであるが、平民や下々の者たちの暮らしと歴史を知ることも日本人が知っておくべき教養の一つだという。文化とのかかわりについては全く知らなかったので興味深かった。
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