小春日和の陽射しの中で

うつ病療養中のjunikeによるブログです。
気の向くままに時々書きますが毎日更新ではありません。。
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あるある大事典

あるある発端の個人のメディアリテラシー

あるある…“信用し過ぎる視聴者”“当事者意識なき局”(IZA:07/3/25)
■「報道・科学番組でしょ?」「いや、情報バラエティーだ」
「こんなに信用されているとは思わなかった」

 調査委員会のヒアリングで、制作関係者が語った言葉だ。
 受け止める側の視聴者はどうだったのか。「納豆ダイエット」の回が放送されて以降、スーパーなどの店頭から納豆が消えた。納豆業者は増産に追われ、影響は新聞も報じた。視聴者の反応は実に敏感だった。
 メディアリテラシー(能力)の観点から、視聴者が無批判に番組情報を受け入れる危険性を説く声は多い。しかし多くの専門家がお墨付きを与える番組構成は、視聴者を信じさせるのに十分。ここに「私たちが作っているのは科学番組ではない。報道でもない。情報バラエティーだ」とうそぶく制作サイドとの大きなずれが生まれている。
「こんなに信用されているとは思わなかった」ってどういう意識??
今回の捏造は放送業界の構造的な問題と思っていたが、倫理的というか作り手としての意識とその影響力を想像できない認識不足もありそうだ。
一方で受け手側である消費者側の意識。テレビが言っているのだから間違いないだろう、専門家が言っているのだから間違いないだろう、と思っても上に書かれている通り、ある意味仕方のない部分もあったかもしれない。

しかし作家の高村薫氏が同じ記事の後半でコンパクトにまとめてくれている。
 ■高村薫さん「市民の側も、情報に無防備すぎる」
今回の問題における視聴者の態度を見れば、だまされるほうが悪いといえなくもない。テレビに限らず、ネットの情報にも同じことが言えるのだが、その情報が絶対に正しいという保証はどこにもないと思う。これだけの情報社会で1つの情報をそのまま信じるのも危険で、たくさんの情報を比べて正しいことを判断する手間と用心が必要だ。
 だからテレビを見てノセられて信じるのは、いかにも幼稚な感が否めない。納豆を買いに走ったのが主婦というなら、なおさら、家族の健康を預かる者としてもう少し賢くなってほしい。

 今、市民は情報に囲まれる中で、「私自身がどう考えるか」という作業の手間を惜しんでいるような心象を受ける。情報に対して無防備である。
そして最後に「情報の洪水の中では取捨選択、ちょっと考える時間が必要なのだ。賢くならないと、情報化社会、広告社会にいいようにされっぱなしになってしまう。」という。情報というのはまず1次情報に接するのが最も確実だと思う。しかし、現場にいられるわけでもなければ、専門的な知識があるわけでもない一般人はやはりネットなり、テレビなり新聞なりの何らかのメディアを通してでしかそういった情報は得ていない。人付き合いの中の口コミやネットの中でも最近は口コミを利用した情報の活用の仕方もあるが、やはりいわゆるメディアもそれら口コミも2次情報以上であることに変わりはない。2次情報であれば、そこにはそれを書いた記者なり編集した制作局の意向がどうしても入るだろう。

情報の洪水の中で取捨選択する時間が必要だというが、その時間が取れないのが実情だろう。

少なくとも複数の情報源から判断するとか、ちょっと疑ってみるとか(こんなテストで信用できるのか等)、そういうことから始めるしかないのだろうか?

ところで、
■自浄力なくば、行政・政治の介入を許す懸念
今回の問題が放送業界に与える影響として最も危ぐされるのが放送法改正問題だ。総務相が再発防止計画を放送局に要求できる新たな行政処分の導入について、放送局側は「行政や政治の介入」と強い懸念をみせる。
 放送界の自浄能力をアピールしようという日本民間放送連盟(民放連、会長・広瀬道貞テレビ朝日会長)の動きは必死で、関西テレビの会員活動停止を即座に決め、5月をめどに放送管理・番組向上機構(BPO)の「放送倫理の確立と再発防止に関する委員会」(仮称)が設けられる。
これはこれで放送業界にとっては非常に危惧される問題ではある。自浄作用に向けてどこまで内部で厳しく出来るのか。
一応
関西テレビ、民放連が捏造で除名へ…準キー局で初(読売新聞:07/3/27)
ということだが。。
個人的にそうなると、他のたとえば関西テレビが制作するドラマなどはどうなるのだろうかが気になる。いいドラマがたくさんあったからな。。
これからも見られるのだろうか?

メディアリテラシーは個人レベルで高めるべきだということは今回の件で視聴者は学習しただろうか?

世界を信じるためのメソッド―ぼくらの時代のメディア・リテラシー
森 達也
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第1章:メディアは人だ。だから間違える。
僕たちの世界観は、メディアによって作られる。だからメディアも大切。でもメディアは時おり間違える。そしてそのメディアを読んだり見たり聞いたりした人たちは、とても簡単にそれを信じ込む。つまり間違った世界観が、とても大量に作られる。メディアにはその危険性がある。
第2章:メディアリテラシー、誰のために必要なの?
メディアは怖い。なぜなら使い方を誤ると、たくさんの人が死ぬ。メディアの情報を何の疑いもなくそのまま受け入れてしまうと、人を殺し、そして自分も殺されることになる状況を呼び寄せてしまう可能性がある。そこまで人間は愚かじゃないって? でもそれは、歴史が証明していることだ。
第3章:キミが知らない、メディアの仕組み
公正中立で客観的なのがメディア。言い換えれば、個人の感情やこうあってほしいという願いなどは排除される、ということになる。でもそんなことは絶対に不可能だ。〜以下省略
第4章:真実はひとつじゃない
だからあなたに覚えてほしい。事実は限りなく多面体であること。メディアが提供する断面は、あくまでもそのひとつでしかないということ。もしもあなたが現場に行ったなら、全然違う世界が現れる可能性はとても高いということを。

数値になると納得しそうになる罠

捏造まだ「あるある」ワサビもレモンも(読売新聞:07/1/30)
番組スタッフは、被験者10人を集め、麗沢大学の豊島建広教授(健康科学)の下で、落ちてくる物差しをつかむ反応速度を測定。豊島教授は「ワサビを食べるグループと食べないグループに分けるべきだ」と注文をつけたが、スタッフは「人数が足りない」からと、同じ被験者で食前と食後に実験を行ったという。10人中7人に効果が表れたとして紹介されたが、豊島教授は「まともな実験とは言えず、結果も偶然だ」と批判する。

 この実験映像を後日見て、ワサビの脳活性化作用について、番組内で脳の活動性が一時的に高まったとする趣旨のコメントをした磯子中央・脳神経外科病院の土田隆副院長も、「統計的に意味のある結果を出すには最低18人の被験者が必要だった」と、実験の信頼性を疑問視している。
人数が足りないから同じ被験者で実験したというのは、実験にも値しない。
ここで取り上げたいのは「統計的に意味のある結果を出すには最低18人の被験者が必要だった」という部分。

少ない人数でやった実験では必ずしも全体を代表した結果とは言えないということ。
「統計的に意味のある結果」を出すのに必要な人数はこの場合は最低18人という(その算出方法、根拠は実験の内容や対象、母集団の規模などによって異なってくる)。

一般に実験でも調査でもそうだが、対象となるもの全部を調べればもちろん完璧だがそれはほとんど非現実的でだいたいがサンプリングしたものを調べて、そこから全体像を見ようとする。そのサンプリング数が少ないと偏った結果が出そうなことくらい素人でも分かりそうなものである。

以前「トリビアの泉」で、「これを調査するには何人調べればいいのか」と統計の専門家に聞きにいって人数を割り出し、そのうえでサンプリング調査していた企画がいくつもあった。本当に調査していたのかどうかはまた信用問題になるが、姿勢としては正しい。標本数(サンプリング数)を割り出すのは素人では計算できないからだ。

しかしその統計や調査にしてもウソが隠れている場合もある。
たとえば新聞社がある特定のテーマについて主張したいことがあって、それを裏付けるための世論はどうなっているのかを調べる場合、その「質問票」自体がその新聞社の主張したい方向に誘導するかのようなつくりになっている可能性もある。
また結果の取り上げ方も賛成6:反対4などの場合、賛成6を取り上げて見出しをつけて重点的に報じるか、反対4を重視してまだ反対の声は根強いなどと報じるかによって受け取る側の印象はまるで反対になる。

自分の中でこのようなことを扱った古典は(といっても2000年6月の発行だが)は以下の本である。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
谷岡 一郎

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
文藝春秋 2000-06
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この本によれば理想的なもしくは検証に耐えられる標本調査の条件は以下の4点を満たしているものだという。(引用にあたり一部補足または省略等してます)

1.(サンプリングが)十分な数がある(「十分」であるための数は、検証内容などで変化する。)
2.母集団が(一般的に)定義されている。
3.回収率が高い(60%以下ではかなりバイアス(偏向:偏り)があると考えた方がよい)
4.確率標本である。(選ばれる前において母集団のどの一人も同じ確率で選ばれる抽出条件で、最終結果に対してウェイト(重みづけ)をかけるなど加工をしないこと)

母集団の対象が何なのか、その中で十分な数だけ調査して回答が得られているか。
回答率が低いと、たとえばそのテーマについて積極的に関心のある人は回答するが関心のない人は回答していないとなると、結果は関心のある人だけのものとなり、調査の意味がない。

ましてや今回の番組実験捏造をやといった感じだ。
こうしたことを知っていれば、そんな少ない人数で出た結果をもってして「効果がありました!」なんて言ってる時点ですぐに疑問に思える。

数値化されていたり、(今回の場合は歪曲されていたが)専門家の意見だったりするとすぐに信用してしまいがちだが、こういった情報にもリテラシーが必要になってきたと思う。

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「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス

ウソウソ大事典>実験捏造

「あるあるII」放送休止… 納豆ダイエットで誇張(IZA:07/1/21)(←産経グループ)
納豆ダイエット実験ねつ造…手口悪質、番組打ち切りも(読売新聞:07/1/20)
「あるある大事典」の納豆ダイエットで捏造 関西テレビ(asahi.com:07/1/21)
[番組ねつ造]「あるある」に消費者から怒り(毎日新聞:07/1/21)

やってることがめちゃくちゃもはなはだしいところ。
思うところは2つあって、1つはなぜこのようなことになってしまったのかという原因。
1.制作会社が下請けに出してさらに孫請けにまで出していたということ(競争原理、コスト削減等?)
2.実験結果などを提示しなければならないような構成の場合思うような結果がでないと番組にならない、または短い制作期間の中で完成させることができない
3.視聴率をとるためにインパクトのあるものを求めた結果の末

メディアなんてそんなもんよ。
それで2つ目がそれに踊らされる視聴者たち。
この番組のおかげで納豆不足で店頭から一時消えたという事態が起こった。
番組を信頼してのことだともちろん思うが、そんなに簡単に信頼しちゃっていいのか?
もちろん中にはきちんとした制作をしている番組もあるだろうけど、この手のものは作り手如何によってどうにでも作れてしまう。

おかげで迷惑をこうむったのはこの番組とは関係なく毎日納豆を普段から食べていた人たちが食べられなくなったということ。納豆自体は昔からある食べ物だし、いいものだからこれがきっかけに納豆不信にはならないだろうけど。

メディアが必ずしも正しい情報を流しているとは限らないことを視聴者は今回の件を通じて学んだだろうか。

というものの、上の新聞4社の報道の内容もほぼ同じようなもの。唯一毎日新聞だけが納豆メーカーの声を載せているだけ。

世界を信じるためのメソッド―ぼくらの時代のメディア・リテラシー
森 達也

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内容(「MARC」データベースより)
メディアと情報の洪水のなかで、ぼくらはなにを疑い、なにをどう信じ、考えていったらいいんだろう? いま子どもたちに、若い人たちに、そしてわれわれ大人にとって切実に必要で、もっともビビッドなメディア・リテラシー。
お知らせ
★データの入れ替え作業で全記事が二重存在します。修正前のものと後のものが混在しています。
(2007/11/14以前のもの)

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プロフィール
中年男性、北関東在住、未婚。05年5月にうつ病発症。現在も療養中。17年11月より午後だけの勤務。補聴器使用者。

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自己紹介 兼 足跡帳

小春日和の意味:「晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな晴天」(こちら[外部リンク]が詳しいです)


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近況報告
19/3/21up

08年3月よりうつ病。
いくつかの職を経て、17年11月より午後だけの4時間勤務。事務。

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